地元の歴史にやたら詳しいシモダじいさんと一緒に、下田の開国の舞台を歩いてきた連載「みなみと歩く 黒船の街・下田」。いよいよ最終回です。しめくくりの舞台は、街と港を一望できる「寝姿山(ねすがたやま)」。
下田ロープウェイで山頂へ登り、これまで歩いた開国の街を上から見渡しながら、5回の旅をふり返ります。テーマは「黒船が見えた山から、開国の街・下田をふり返る」です。
黒船が見えた山から、街を見下ろす
寝姿山とは|黒船を見張った展望の山
寝姿山は、下田の市街地を見下ろす標高約200メートルの山です。伊豆急下田駅のすぐそばから下田ロープウェイで山頂へ登ると(所要約3分30秒)、下田港はもちろん、須崎半島や伊豆七島、太平洋までを見渡すパノラマが広がります。山頂は遊歩道が整備され、四季の花や眺望を楽しみながら散策できます。
黒船見張所|海防の最前線
寝姿山の山頂は、幕末に黒船の見張所が置かれた場所でもあります。嘉永2年(1849年)、イギリスの測量船マリナー号が来航した際、江戸幕府は寝姿山に見張所を設け、下田奉行所の役人を派遣して昼夜を問わず外国船を監視させました。現在は当時のようすを再現した見張所があり、役人の人形や大砲のレプリカが置かれています。海から来る「異国」と、この国が最初に向き合った緊張の現場です。
愛染堂|縁結びの山
山頂には、愛染明王をまつる「愛染堂」があり、縁結び・恋愛成就のスポットとして親しまれています。かつて黒船を見張った山が、今は良縁を願う人びとが訪れる場所になっているのも、平和な時代ならではの風景です。
寝姿山・下田ロープウェイのアクセス・利用メモ
- 住所:静岡県下田市東本郷1-3-2(下田ロープウェイ乗り場)
- アクセス:伊豆急下田駅から徒歩約1分の乗り場から、山頂まで約3分30秒
- 料金:ロープウェイ往復 大人1,500円・小人750円
- 運行時間:季節により8:45〜17:00頃(時季で変動)
- 駐車場:無料(35台・乗り場正面)
- ※最新の料金・運行時間は公式サイトで確認を
連載まとめ|みなみと歩いた「黒船の街・下田」
全5回の旅をふり返ると、下田に開国の物語が密集しているのが偶然ではないと分かります。江戸へ向かう船の風待ち港として栄え、下田奉行が置かれたこの港町は、開国にあたって真っ先に「外」と向き合う最前線になりました。だからこそ、ペリーもハリスも、龍馬もお吉も、そして見張所の役人たちも、この街に足跡を残したのです。立場も生き方もちがう彼らは、みな同じ「開国」という大きな波のなかにいました。その足跡をひとつひとつ訪ねると、教科書の一行だった出来事が、ぐっと身近な人間のドラマになって立ちあがってきます。下田を歩けば、その物語が地続きで感じられるはずです。
- 第1回:了仙寺|日本の開国って横浜から始まったんじゃないの?
- 第2回:玉泉寺|ハリスが暮らした「日本で最初のアメリカ」
- 第3回:ペリーロード|なぜ川沿いに異国情緒の石畳があるのか
- 第4回:宝福寺|唐人お吉と、龍馬の脱藩が許された日
- 第5回:寝姿山|港を見下ろして(この記事)
▶ 連載の全体像をまとめた 開国の街・下田の歴史まとめ も、あわせてどうぞ。