地元の歴史にやたら詳しいシモダじいさんと一緒に、下田の開国の舞台を歩く連載「みなみと歩く 黒船の街・下田」。第2回は、柿崎(かきざき)にある「玉泉寺(ぎょくせんじ)」へ向かいます。
前回の了仙寺は「ペリー」の舞台でした。今回の主役は、ペリーの次にこの街へやってきた、もう一人のアメリカ人。テーマは「玉泉寺、ここがどうして“日本で最初のアメリカ”なの?」です。
お寺の本堂が、アメリカ総領事館になった
玉泉寺とは|黒船乗員も眠る瑞龍山の古刹
玉泉寺は、山号を瑞龍山(ずいりゅうざん)という曹洞宗の寺院です。もとは真言宗の寺でしたが、天正年間(1573〜1592年)に曹洞宗へ改められました。嘉永7年(1854年)の日米和親条約では、黒船乗員の休息所・埋葬所に指定され、開国の現場のひとつとなります。現在は境内一帯が国の史跡に指定されています。
日本最初のアメリカ総領事館とハリス
安政3年(1856年)、初代アメリカ総領事タウンゼント・ハリスが下田に着任します。当初は幕府が着任に難色を示し、和親条約の日本語訳の行き違いもあって交渉は難航しましたが、最終的に玉泉寺に日本最初のアメリカ総領事館が開かれました。ハリスは通訳のヒュースケンとともに本堂で約2年10か月を過ごし、安政6年(1859年)に拠点を移すまで、ここで日本との交渉にあたりました。玉泉寺で重ねられたやり取りは、やがて日米修好通商条約へと結実していきます。
ハリス記念館|幕末開国史の第一級資料
境内の「ハリス記念館」では、ハリス総領事の愛用品や関連の古文書のほか、吉田松陰ゆかりの遺品、ロシア船ディアナ号の将校が撮影した日本最古級の銀板写真など、幕末開国史の第一級といえる資料が展示されています。教科書の中の出来事が、すぐ目の前の「実物」として迫ってくる場所です。
境内の「日本最初」|外国人墓地と牛乳の碑
玉泉寺には「日本最初」がいくつも残ります。境内の日本最初の外国人墓地には、ペリー艦隊の乗員5名と、伊豆沖で被災したロシア船ディアナ号の乗員3名・アスコルド号の乗員1名が葬られています。さらに、ハリスにまつわる逸話から生まれた「牛乳の碑」も。日本人に牛乳を飲む習慣がなかった時代の、文明開化の小さな一歩を伝えています。
玉泉寺へのアクセス・拝観メモ
- 住所:静岡県下田市柿崎31-6
- アクセス:伊豆急下田駅から徒歩約25分。バスなら「須崎・爪木崎行」で柿崎神社前下車、徒歩2分
- 駐車場:あり(山門横・玉泉寺駐車場)
- ハリス記念館:開館8:30〜16:30/拝観料 大人500円・小人200円/年中無休
- ※最新の拝観時間・料金は公式サイトで確認を
次回予告
第3回は、了仙寺へと続く石畳の道「ペリーロード」へ。ペリーが軍楽隊を率いて行進した参道が、なぜ今のレトロな散歩道になったのかを歩きます。(近日公開)
▶ 連載の全体像は 開国の街・下田の歴史まとめ から。前回【第1回・了仙寺】もどうぞ。