伊豆下田の街を、地元の歴史にやたら詳しいシモダじいさんと一緒に歩く連載「みなみと歩く 黒船の街・下田」。みなみが教わりながら、開国の舞台を1か所ずつめぐっていきます。記念すべき第1回は、ペリーが乗り込んだ寺「了仙寺(りょうせんじ)」へ。
テーマは、たぶん多くの人が勘違いしているところ。「日本の開国って、横浜から始まったんじゃないの?」——みなみの素朴な思い込みから、話はスタートします。
了仙寺で、みなみの思い込みがくつがえる
了仙寺とは|将軍の命で建てられた古刹
了仙寺は、寛永12年(1635年)、三代将軍・徳川家光の命を受け、当時下田奉行の職を代行していた今村正長によって建てられた日蓮宗の寺院です。創建からおよそ200年は、下田の港を見守る一寺院でした。その名が歴史の表舞台に立つのが、幕末の開国です。現在は寺の境内一帯が国の史跡に指定されています。
下田条約が結ばれた寺
嘉永7年(1854年)3月、神奈川で日米和親条約が締結され、下田と箱館の開港が決まりました。続いてペリー艦隊は下田に入港し、了仙寺を応接所として交渉が重ねられます。そして同年5月22日(西暦1854年6月17日)、付録にあたる「下田条約」13ヶ条がここで調印されました。アメリカ船員が上陸して立ち入れる範囲や、休息所(了仙寺・玉泉寺)、埋葬の場所、物資の補給といった細目を定めたもので、条約の文面だけでは決まらない「実際の付き合い方」をすり合わせた取り決めです。日本最初の開港地・下田の、開国実務の最前線となった場所といえます。
MoBS黒船ミュージアム|開国の記憶にふれる
境内には、ペリーや黒船、開国に関する原本資料3,000点以上を所蔵する「MoBS黒船ミュージアム」が併設されています。日本最大級といわれるコレクションで、黒船来航から開国にいたる時代を、資料や映像でたどることができます。お寺への参拝は無料ですが、宝物館(MoBS)は入館有料です。開館時間や最新の入館料は、訪れる前に公式サイトで確認してください。
別名「ジャスミン寺」|5月の香り
了仙寺は花の寺としても知られ、毎年5月ごろになると、境内をおよそ1,000株のアメリカジャスミン(ブルンフェルシア)が彩ります。紫から白へと色を変える花が甘い香りを放ち、「ジャスミン寺」の愛称で親しまれています。歴史散策とあわせて、初夏の下田ならではの楽しみです。
了仙寺へのアクセス・拝観メモ
- 住所:静岡県下田市七軒町3-12-12
- アクセス:伊豆急下田駅から徒歩約10分。駅から続く商店街「マイマイ通り」の終点が了仙寺です
- 駐車場:あり(乗用車約40台・バス6台)
- 拝観:参拝は無料/宝物館「MoBS黒船ミュージアム」は入館有料
- 開館時間・料金:最新情報は公式サイトで確認を
次回予告
第2回は、柿崎の「玉泉寺」へ。ペリーの次にこの街へやってきた、初代アメリカ総領事タウンゼント・ハリスが暮らした「日本で最初のアメリカ」を訪ねます。(近日公開)
▶ 連載の全体像は 開国の街・下田の歴史まとめ から。