1. トップ
  2. グルメ
  3. 稲取キンメ完全ガイド|東伊豆・稲取漁港の日戻り…

稲取キンメ完全ガイド|東伊豆・稲取漁港の日戻り一本釣りブランド、下田のキンメとの違いと旬・食べ方

稲取キンメ完全ガイド|東伊豆・稲取漁港の日戻り一本釣りブランド、下田のキンメとの違いと旬・食べ方

Photo: Asturio Cantabrio (CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

伊豆でキンメを食うなら下田、と思ってる人は多いだろう。だが東伊豆町の稲取には「稲取キンメ」っていう別のブランドがあってな、こっちは地域団体商標に登録された正式なブランドだ。同じ伊豆のキンメでも、獲り方も扱いも値の付き方も違う。船長がその違いを整理しておく。

先に結論:稲取キンメとは、東伊豆町の稲取漁港に、立縄釣り(一本釣り)の日戻り操業で水揚げされたキンメダイのこと。日の出から漁を始めて午後4時までに港へ戻り、船の上で水氷に入れて持ち帰る。この一連の扱いがブランドの中身だ。稲取ではおよそ60隻が操業している。旬は12月〜2月

「稲取キンメ」の定義は漁法と時間で決まっている

ブランドといっても、稲取で揚がったキンメなら何でもそう名乗れるわけじゃない。東伊豆町の説明では、立縄釣り(一本釣り)漁で丁寧に扱い、日戻り操業と船上からの水氷保存により品質を管理したもの、と条件が決まっている。

日戻り操業ってのは、日の出から漁を始めて、午後4時までに入港するやり方だ。何日も洋上に出ずにその日のうちに戻る。だから水揚げされた時点で魚がまだ新しい。獲った端から船上で水氷に入れるから、港に着くまで温度が上がらない。

網でまとめて獲るのではなく、釣りで1尾ずつ揚げるのも大きい。魚体に傷が付きにくく、身の傷みも少ない。手間はかかるが、そのぶん値が付く。

立縄釣りという漁法

立縄釣りの仕掛けは、全国漁業協同組合連合会の説明によると1本の道糸と幹縄の先に枝縄と釣り針を付け、一番下に2〜3kgの鉄筋の重りを付けた漁具だ。深いところにいるキンメを、この仕掛けを垂らして狙う。

漁場は伊豆半島の周辺と、伊豆大島から神津島にかけての西側。伊豆はこの好漁場が近いおかげで日戻りが成り立つ。産地としての強みは、実はこの「距離」にある。

資源の管理も決めごとがある。夜間の操業は禁止体長28cm以下は再放流といったルールが敷かれている。獲り尽くさない前提で回している漁だ。

下田のキンメとは何が違うのか

ここが一番聞かれるところだ。伊豆半島のキンメには漁港ごとのブランドがあって、プライドフィッシュでは「須崎の日戻り金目鯛」「稲取キンメ」「伊東の地きんめ」の3つが挙げられている。須崎は下田市だ。つまり下田側のブランドは「稲取キンメ」ではなく「須崎の日戻り金目鯛」ということになる。

そもそもキンメには獲れる海域と獲り方で地きんめ(ジキンメ)・島きんめ(シマキンメ)・沖きんめ(オキキンメ)の別がある。伊豆の日戻りで揚がるものが地きんめで、稲取キンメも須崎の日戻り金目鯛もここに入る。値も味も、この区別で変わってくる。

だから「稲取と下田、どっちがうまい」という聞き方はあまり意味がない。どちらも同じ地きんめで、漁港ごとに自分たちの基準を決めてブランドを守っている——そう捉えるのが正しい。旅の途中でどちらの港に立ち寄るか、という話だ。

下田側で食べるなら下田で金目鯛が食べられる店まとめに煮付け・海鮮丼・干物と食べ方別に整理してある。下田を1日で回るなら下田1日観光モデルコース、テレビで紹介された店から選ぶならせっかくグルメの金目鯛・海鮮の店まとめを見てくれ。

旬は12月から2月

キンメは通年揚がるが、旬は12月〜2月とされている。皮下の脂がのって、味が濃くなる時期だ。深紅の魚体と大きな眼が特徴で、この金色に光って見える眼が名前の由来になっている。

この冬の旬が、稲取のもうひとつの看板と重なるのがいい。雛のつるし飾りまつりは1月から3月にかけて開かれる稲取発祥の行事で、キンメの旬とほぼ同じ時期だ。冬に稲取へ行くなら、この2つは自然に一日の中でつながる。

朝市でキンメの釜めしを食う

稲取キンメを出す店は漁港の周りに何軒かあるが、その日の水揚げで扱いが変わるから、店を決め打ちで行くなら電話で確かめてから動いたほうがいい。品切れじまいは珍しくない。

確実に手軽なのは「東伊豆まち 港の朝市」だ。東伊豆町役場の庁舎駐車場で、毎週土・日・祝日の朝8時から12時まで開かれている。伊豆稲取駅から徒歩10分。名物はキンメの釜めしで、キンメのみそ汁も募金形式(30円)で出る。朝のうちに港へ降りて、炊きたての釜めしを食う——これが稲取の一番わかりやすい入り口だ。

買って帰る・送る

稲取キンメは煮付けや味噌漬けに加工した商品も出回っていて、東伊豆町のふるさと納税の返礼品にもなっている。生の一尾を持ち帰るのが難しければ、加工品を選ぶ手もある。

ただし「稲取キンメ」と名乗れるのは前述の条件を満たしたものだけだ。土産物を選ぶときは、稲取漁港の水揚げかどうかを確かめるといい。同じ「金目鯛」の表示でも、島きんめや沖きんめが混じることはある。

行き方

稲取へは伊豆急行線の伊豆稲取駅が最寄りだ。下田からも熱海からも伊豆急1本で行ける。港と朝市の会場は駅から徒歩圏にある。

車なら国道135号沿い。冬の週末は雛のつるし飾りまつりの時期と重なると混むから、朝早く動くのが得策だ。

Photo: Asturio Cantabrio (CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

この記事をシェア

同じエリアの記事

次に読む

この記事を書いたライター

グルメ船長
グルメ船長 グルメ・新店情報担当

「旨いものは説明しすぎると嘘になる」を信条に、南伊豆のグルメ情報を淡々とレポートするライター。金目鯛・伊勢海老・サザエなど、仕入れ先と調理法という事実だけを積み重ねた文章を書いています。

グルメ船長の記事一覧

南伊豆マガジン

地域のグルメ・イベント・観光・暮らしの情報をお届けしています。あなたが見つけたお店・イベント・季節の景色があれば、ぜひ教えてください。

新着記事