松崎町は、桜餅を包むあの「桜葉(さくらば)」の日本一の産地だ。塩漬けにした桜の葉の生産量で、全国シェアのおよそ7割を占める。人口6千人に満たない西伊豆の小さな町が、全国の桜餅を支えている。
使うのはオオシマザクラの葉。葉に細かい毛がなく、口当たりがよい。だから桜餅に向く。畑地での栽培が始まったのは昭和37〜38年ごろ。以来、町の畑でこの葉が育てられてきた。塩漬けにすると、あの独特の桜の香りが立つ。
産地だけあって、松崎では桜葉餅そのものが名物だ。町内の菓子店では一年を通して売られている。関東風の長命寺系(焼いた薄皮で餡を巻く)と、関西風の道明寺系(つぶつぶの餅で包む)の両方を味わえるのも、この町ならでは。塩漬けの葉ごと食べると、塩気と桜の香りが餡の甘さを引き締める。
桜葉餅は、松崎の中心部に点在する和菓子店で一年を通して買える。なまこ壁の町並みを歩いたあとの一服に向く。葉の塩気が、歩き疲れた体にちょうどいい。お茶うけに、土産にと、産地ならではの一個を味わってみてほしい。