南伊豆の最南端、石廊崎(いろうざき)。太平洋に突き出した断崖の突端近くに、岩にめり込むように建つ社がある。石室神社(いろうじんじゃ)。地元じゃ「石廊権現(いろうごんげん)」と呼ぶ古い神社だよ。
知ってるか? この社殿、土台に船の帆柱が使われてるんだ。昔、千石船が石廊崎の沖で嵐に遭ってな。船頭が「無事に江戸へ着けたら帆柱を奉納します」と権現さまに誓ったところ、ぶじ難を逃れた——そんな伝説が残る。今も拝殿の床は一部がガラス張りになっていて、下に渡された帆柱を覗けるようになっている。伊豆の七不思議のひとつに数えられる話だな。
祀られたのは古い。大宝元年(701年)に、今の岩窟の地へ社が建てられたと伝わる。なぜこんな崖っぷちに、と思うだろう。ここは古来、伊豆を行き来する船にとっての難所。海上安全を祈る場として、断崖そのものが御神体のように敬われてきたんだ。
行き方は、石廊崎岬めぐり遊覧船乗り場の駐車場(1回500円)に車を停めて、遊歩道を歩いて10分ほど。崖の上から見下ろす太平洋は、それだけで一見の価値があるよ。参道は狭くて段差もあるから、足元には気をつけてな。